連載中のコラムから

保険業界誌『インシュアランス生保版』に
コラムを書かせていただいています。

発行元の株式会社保険研究所さんに
こころよくOKを出していただいたので、
昨年11月の掲載分を転載します。

森田はちょっと硬めの文章も書いてます。

 ↓ ↓ ↓

(株)保険研究所『インシュアランス生保版』4495号
「保険ビジネス インサイド&アウトサイド」より転載
 
年末調整の「お尋ね」が来た

 年末調整について税務署から「お尋ね」がくると思っている方はまずいないだろう。ところが、どうやらさほど珍しくはないことを今年知ることになった。

 「住宅ローンを借り換えた時の金額を明らかにして下さい。」ある日夫の勤務先を通して税務署から「お尋ね」があって驚いた。借り換えをしたのはかなり前の話なのだ。当時の通帳を処分したのではないかと不安になったが、まだ残っていた。日付を見れば、なんと6年前である。これほど時間が経ってから聞かれることがあるのだろうかと不思議に思ったものの、夫の勤務先を巻き込んで揉めるほどの度胸は持ち合わせていないので、粛々と通帳のコピーを取って提出した。不思議なもので、お尋ねがくると何かまずいことでもあったのだろうかと不安になるものだ。「是正なし」の連絡を受け取り、やっと安堵することができた。

 尋ねられたのは住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)についてである。マイホーム購入時に組んだ住宅ローンの残高に応じて税金が軽減される制度だ。控除率は購入した年によって違う。細々とした条件はつくものの、昨年買った人で控除率1%が適用されれば10年にわたって毎年40万円を限度に還付される。まとまった金額が戻ってくるとあって、条件をクリアできる人なら必ず利用している。1年目は確定申告が必要になるため書類に不備がないよう慎重に記入するが、会社員なら2年目以降になると年末調整ですんでしまうので書類への記入にはそれほど神経を使わないものだ。しかし、借り換えをした場合には要注意なのである。どのような場合でも住宅ローン控除を引き続き使えるというわけではないのだ。

 通常、住宅ローンの借り換えは、ローンの残高と同額を借り入れる。これであれば明らかな借り換えなので、他の適用条件も満たしていれば続けてローン控除を使うことができ、問題にはならない。ところが、新しく借り入れる金額が、借り換え前の残高を超えるケースがしばしば見受けられるようなのだ。借り換え前のローン残高が3千万円なのに借り換え後は3千百万円に増えているような場合である。本来の住宅ローンとは別の目的に使うローンも含めて借りたことになる。ローン控除の計算には余分に借りた百万円分を含めてはいけない。

 借り換えをした場合に税務署への届け出が義務付けられているわけではない。それまでと同様に年末調整をすればよいことになっているが、先の例のような余分に借り入れた場合にはその分を差し引いて計算しなければならない。留意しながら「自分で」計算方法を変えなければならないのだ。これを変えずに年末調整をしてしまうと、本来還付されるべき金額よりも多く受け取ってしまうことになる。つまり、税金が戻りすぎてしまい、納税額が不足することになる。税務署からのお尋ねは「あなたの控除額が多すぎたということはありませんか。もしも納税額に不足分があれば今から納めてくださいね」ということなのだ。

 ここで疑問が湧いた。そもそも、残高が3千万円なのに3千百万円を借りられるものだろうか。借り換えをする際には手数料が発生する。金額はケースバイケースであるが、数十万円から百万円を超えるような金額が必要になる場合もある。以前は「手数料は現金で準備する」のが常識であったと記憶しているが、調べてみるとこの手数料分も上乗せして借り換えに応じてくれる金融機関もあるようなのである。稀に見るケースというわけではないらしい。しかし、年末調整に注意が必要なことまではあまり知られていないようだ。悪意なく同じ計算を続けて還付金を多く受け取っている人もおそらくいるのではないだろうか。

 それにしても、わが家の場合にはずいぶん時間が経ってからのお尋ねである。保険料控除を年末調整でし忘れても還付請求できるのは5年間だけである。腑に落ちないので税務署のコールセンターに電話をして聞いてみると「通常でしたら5年以上経ってからお尋ねすることはないと思いますが」とのこと。どうやら勤務先が借り換えをした社員にまとめて尋ねたということのようであった。借り換えをした方には通帳の保管をお勧めしたい。

 そろそろ年末調整の書類を準備する時期である。今年は生命保険料控除にも変更がある。毎年のことなので気軽に記入してしまうが、やはり税金関係の書類には注意が必要だと改めて思うのである。
 (ファイナンシャル・プランナー 森田和子)


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